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SS Summer Seaside!!(1)

2010.07.23 *Fri*
※唯梓
※前半ギャグ、後半シリアス
※唯視点
※一応男キャラが出ます(ギャグ要員ですが)。嫌悪を感じる方はスルーで。


『Summer Seaside!!』

「海に行こう!」

一学期終業式。ついに明日から待ちに待った夏休み! 校内のあちこちで生徒達が楽しそうに夏の予定を語っていて、校内はどこか浮ついた空気だ。
そりゃあそうだよね。これから始まる自由で開放的な日々に想いを馳せれば、心は自然と躍りだすというものだ。だから、いつものように部室でティータイムを過ごしているとき、りっちゃんがそんなことを言いだしたのも至極最もだと思う。

「さんせ~いっ!」

というわけで、私、平沢唯も勢い良く手を上げて賛同の意を表明したのでした。

「何呑気なこと言ってるんだ、三年生」

だけど、私に続いたのは溜め息交じりの声。澪ちゃんがやれやれといった様子で私とりっちゃんの方を見ていた。

「お前達、これからの進路もちゃんと決まってないのに遊ぶことばっかり考えてちゃ駄目だぞ」
「いやいや、真面目にやるときはやる、遊ぶときは遊ぶ! このメリハリが大事なんだよっ」
「律は遊んでばっかだろうが!」

ごちん、と痛そうな音が部室に響く。相変わらずの澪ちゃん鉄拳制裁(りっちゃん限定)。それにしても、いつも思うんだけど叩かれてちょっと嬉しそうにしているりっちゃんって『まぞ』なのかな。

「澪先輩の言う通りです。唯先輩も律先輩も遊び過ぎです。もっと将来のことも考えて下さい」

次に声を上げたのは、ちっちゃくて、綺麗な長い黒髪を二つに分けていて、ちょっとだけ吊り上ったお目めがキュートで、ネコミミがすごく似合って、真面目で、ギターを弾いてるときはすごくかっこ良くて、でもとにかくすごくすっごく可愛い、愛しのあずにゃんこと梓ちゃん。
ちなみに、私の彼女だ。
私達は恋人としてお付き合いをしている。
忘れもしない冬の日。私はあずにゃんに秘めてきた想いを、後輩としてではなくて一人の女の子として中野梓ちゃんのことが好きだという気持ちを告白をした。ほとんど駄目元で、正直軽音部を辞める覚悟すらしていた。
でも、あずにゃんは私を受け入れてくれた。そのときの喜びは、今でも色褪せず心に深く刻まれている。その日、私達は初めてのキスをして恋人になった。
あれからもう半年。私達は幸せにカップルやってます。
うんうん、今日も絶好調に可愛らしいなぁ、私の彼女。少し頬を膨らませて、眉を吊り上げて。ちょっと背伸びして先輩に進言って感じがまたたまらないね。最近、あずにゃんになら怒られるのさえ悪くないって思うようになってしまった。……あれ、もしかして私も『まぞ』?
おかしいなぁ。するときはあずにゃんが『えむ』で、私は『えす』なのに。あ、『する』の目的語がナニかは訊いちゃ駄目だよ?

「な、何ですか。そんなにじっと見つめてきて」

私がじっくりと愛らしいお顔を堪能していると、あずにゃんは少し頬を赤らめてぷいっと顔を横に向けてしまった。
ふふ、可愛いの!
よし、もっと恥ずかしがらせちゃえ。

「いやいや、あずにゃんは可愛いなと思って」
「そんなことないです! ……唯先輩の方がずっと――って何言わせてんですか! も~、話を逸らさないで下さいっ」

え、話を逸らそうとしたつもりではあったけど、何かを言わせたつもりはないよ? ていうか、ぼそぼそ声で聞き取れなかったけど何て言ってたの?

「というか、どうしていきなり海だなんて言い出したんですか、律先輩?」

こほんっと軽く咳払いした後、あずにゃんはりっちゃんの方を向いてそんなことを訊ねた。りっちゃんはちっちと舌を鳴らしながら人指し指を揺らして答える。

「わかってないな、梓。夏と言えば海! 海と言えば水着! 水着と言えば――」
「と、言えば?」

不思議そうに首を傾けるあずにゃん。りっちゃんは正面を見据える。その視線の先には、澪ちゃん。きらんと光るりっちゃんの瞳(とおでこ)。

「みおっぱいだぁ!」

そんなことを叫びながら体を机から乗り出して、その魔手で澪ちゃんの胸をむんずと、

「ふざけるなぁっ!!」

掴もうとして、全力チョップを脳天に食らい撃沈した。すっごい痛そうな音したよ? りっちゃん隊員、無茶しやがって……。
あ、でも。

「はいはいっ! 私もあずにゃんの水着姿が見たい!」
「へっ!? きゅ、急に妙なことアピールしないで下さい!」

え~、妙なことじゃないよ~。可愛い彼女の水着姿が見たいなんて、世の中の彼女はみんな思ってるよ?

「私は賛成かな。海、いいと思う」

お茶のお代わりをみんなに注ぎながら事を静かに見ていたムギちゃんがそう言った。お、ムギちゃんもこっち側だ。心強い味方をゲット!

「もう、ムギはこの二人に甘いんだから。下手にフォローなんかしなくていいんだぞ。余計につけ上がるだけなんだから」
「そうです、ムギ先輩はもっと厳しく言ってやってもいいと思います」
「え、えっと」

澪ちゃんとあずにゃんが口を揃える。二人に詰め寄られてムギちゃんはたじたじといった感じだ。
ふむ、私達に厳しいムギちゃん、かぁ……。

『ほら、いつまでもティータイムなんてしてないで、練習しましょう! 練習!』
『もう、何ですぐにミスするの、唯ちゃん! この曲がちゃんと弾けるようになるまで、お菓子は禁止だからね』

「そんなムギちゃんヤダぁ~!」

私は目の前のムギちゃんの手を取って、その顔をじっと見つめる。

「大丈夫だよね? ムギちゃんはいつまでもムギちゃんのままだよね?」
「一体、どんなムギ先輩を想像したんですか……」

いやいや、こんなほんわか癒し系お嬢様がそんなの、ありえない!
ムギちゃんは少し困ったように笑って言う。

「あ、あのね、別に唯ちゃんやりっちゃんに加勢しようって思って言ったわけじゃなくて、その」

そこで一度言葉を区切って、ムギちゃんはちらっと澪ちゃん、あずにゃんの方を見る。

「確かに私達はもう三年生だし勉強とか、進路のこととか、大変だと思うけど、でも最後の夏休みでしょ? 私はみんなといっぱい楽しい思い出を作りたいから……。だから、海に行きたいっていうのは私自身の希望なの」
「ムギ……」
「ムギ先輩……」

私はその言葉を聞いて、一瞬言葉が出なくなる。
そっかぁ。もう、高校生活最後、なんだ。これからやることは全部そうなっていくんだね。夏休みも、秋の体育会や文化祭といった行事も。何気ない日常だって、全部全部かけがえのないもう戻らない時間。何だか、実感沸かないなぁ。
少ししんみりとした空気が部室に流れる。
あずにゃんと澪ちゃんも私と同じように言葉を詰まらせているようだ。りっちゃんは元から黙ってるけど。意識あるのかな?
沈黙を破ったのは、ふぅっという澪ちゃんの溜め息。

「ま、ムギがそう言うなら。梓は?」
「そうですね。私も、ムギ先輩が行きたいって言うんだったら行ってもいいかな」

いかにも「しょうがない」という顔で二人は顔を見合わせた。しかし、ムギちゃんが私達に甘いって言うけど二人は二人でムギちゃんに甘い気がするんだけど、とちょっぴり拗ねた気持ちになる。
まぁ、いいや。これで。

「よっしゃぁ、よくやったムギ! 海行くぞー!」

突っ伏して沈黙していたりっちゃんが突然起きあがって高らかに声を上げた。

「何だ、意識あったのか」
「澪しゃん、冷たい。冷た過ぎる。もうちょっとハードに突っ込んで。タイミング計ってた私が馬鹿らしくなってくる」
「問題ないだろ。馬鹿であってるから」
「ほんとに冷たい!?」

そんなこんなで、夏休み初日、海に行く事が決まりました!
高校生活最後の夏休み、思いっきり遊ぶぞーっ!

「――とか、思ってるんでしょうけど、さっきも言った通りこれからのこともちゃんと考えて下さいね」

うぐ、しっかりと釘を刺してくる辺りが流石ですね、まいはにー。

  ◇

高々とそびえ立つ入道雲。燦々と照りつける太陽。青々と広がる海。爛々気分の私達!

「「うっみだぁ~!」」

翌日、私達軽音部一同は電車で揺られること一時間、海水浴場までやってきた。
到着するやいなや更衣室へ。手早く水着に着替えてから、私とりっちゃんは一足先に飛び出して行った。

「よし、唯! 毎年恒例のアレ、やるぞ!」
「ほいさっ!」

私達は駆け足で水際まで向かう。それから、同時にばったりと砂浜に倒れ込んだ。
数秒の沈黙。
先に顔を上げたのはりっちゃん。

「ううぅ、ゆ、唯……。唯! しっかりしろ、唯!」

ゆっさゆっさと肩を揺さぶられて、私もゆっくりと体を起こす。

「ん、ん~、何とか大丈夫だよ~」
「そうか。それは良かった。くっ、それにしてもまさか乗っていた船が難破するとは……。ここはどこなんだ……」
「……わからない。だけど、何もない砂浜、生い茂るジャングルっ。きっとここは無人島だよ! サバイバルだよ、りっちゃん!」
「そうだな、無人島だな! どこからどうみても――」

私達は辺りをぐるっと見回す。

わいわいがやがや。人、人、人。

「……無人島じゃねぇな」
「……そうだね」

夏休み初日ということもあってか、海水浴場は大勢の人で賑わっている。特に更衣室のあった海の家の周辺は結構混雑しているようだった。
今まではムギちゃんとこのプライベートビーチだったから出来た『遭難ごっこ』はここではできませんでした。しょぼーん。

「うふふ、二人とも元気ね~」
「こら、みっともないからもう少し大人しくしろ」

少し遅れて、ムギちゃん、澪ちゃんが来る。ううむ、二人とも相変わらず立派なモノをお持ちで……っ。
いや、しかしね。大きければいいってもんじゃないのですよ! 偉い人にはそれがわからんのです! ふんすっ!

「全く、唯先輩も律先輩も早過ぎですよ~」

二人の後ろから、私の彼女がひょっこり顔を出す。去年と同じピンクのワンピースタイプの水着。やっぱり可愛いな~。ぺろぺろしたい。
そして何より、控えめなお胸がグレイトだね!

「うん、やっぱりあずにゃんぐらいが最高だよぉ」
「……気のせいか、すっごい失礼なことを言われているような」

貧乳はステータスです。希少価値です。貧乳、最高!

「それにしても、海水浴場初めてきたわ~。人でいっぱいね!」
「……こんなに人がいるなんて。ううぅ、もっと露出が少ない水着にすればよかった……」
「いいじゃん、見せつけてやれよ。澪のダイナマイトエロエロボディを!」
「誰がエロエロだっ!」
「いたっ!? ちょ、暴力反対!」

お、皆さん今日もしっかりお約束をこなしてますな。というわけで、私も。

「あっずにゃん」
「んにゃ!?」

一気に近づいて、その小さな体をぎゅっと抱きしめる。うん、このフィット感がたまらないね。一日三回以上はこれをやらないと、力が出ないよ。
私の腕の中であずにゃんは顔を真っ赤にして金魚のように口をぱくぱくさせている。
そんな様子が愛しくて、私はあずにゃんの耳元に口を近づけて囁いた。

「梓、水着似合ってる」
「ふぇ!? べ、別に去年と同じじゃないですか……」
「ふふ、そうだけど、でもあずにゃんじゃなくて『恋人の梓』の水着は初めてだから、ちゃんと言っておかないとね」
「~~~っ!」

あずにゃんが私の言葉に、くすぐったそうに少し身をよじる。普段とは違って素肌を晒している水着で密着しているもんだから、体がダイレクトに擦れ合う。
えへへ、イケナイ気分になっちゃいそう……。

「って、痛い! 唯先輩、体中砂だらけ! 砂が擦れて痛いです!」
「え、あ、ホントだ」

さっき遭難ごっこをやろうとしてたときについていたようだ。気づかなかった。

「も~、仕方ないですね」

あずにゃんがぱっぱと体についた砂を払ってくれる。

「ありがと~」
「いえ。……あの」
「ん? なに?」
「えっと、唯せん……唯も、水着似合ってる。可愛いよ」

はにかむような笑顔に、くらっときた。
そんなこと言われて、私正気じゃいられないよ? 何、いきなり二人っきりのときの口調になっちゃって。襲ってもいいってサインなの?
いや、流石にそれはマズいけど、でもキスぐらいならしてもいいふいんき(なぜか変換できない)だよね?
すっと、あずにゃんが目を閉じる。おお、おっけーですか。そうですか。
では、遠慮なく―― 

「おい、そこのバカップル。シートとかパラソルの準備手伝え」
「にゃっ!? あ、す、すいません……」 

そんな甘々な空気を、りっちゃんの一言がぶち壊した。

「も~、りっちゃん、せっかくいいムードだったのにぃ。もしかしてラブラブな私達に嫉妬?」
「何をぅ! 私だって澪とムギとラブラブするもんね!」
「たらしですね」

いい加減、どっちか決めなよ。まぁ、何となくふらふらしてるのがりっちゃんらしいと言えばらしいけど。

「ったく、ほら、馬鹿なこと言ってないで律も手伝う」
「りっちゃん、そっちのシートの端持って~」
「おぅ、まかせろ。あ、梓は荷物の整理頼む」
「わかりました」

テキパキとみんな動き出す。あれ、何か取り残されてしまった。

「ねぇねぇ、私何かすることない~?」
「ん~、ないな」
「ひどいっ! りっちゃんが手伝えって言ったくせに!」
「や、よく考えれば梓がいりゃいいかなと」

がーん。まさかの戦力外通告……。いいもんっ! じゃあ、私は私のやりたいことをする!

「あれ、唯先輩、どこ行くんですか?」
「海の家でお昼買ってきます!」
「やっぱり食べ物なんだな……」

澪ちゃんに呆れたような声で言われてしまった。いやいや、ご飯は超重要だよ? ご飯とあずにゃんがあれば生きていけるよ?

「じゃあ、飯は唯にまかすか」
「まかされました! みんな希望ある?」
「いや、私は何でもいいけど。澪とムギは?」
「私も。唯が食べたいもの買ってきたらいいよ」
「何が売ってるのかよくわからないから……。唯ちゃんのお勧めで」

りっちゃん、澪ちゃん、ムギちゃんからは特に要望なし。というわけで最後に「あずにゃんは?」と、訊ねたんだけどあずにゃんは少し不安そうな瞳で私をじっと見つめているだけで何も答えない。

「どしたの?」
「へ、あ、えと、私も何でもいいです。……あの、気をつけてくださいね?」

気をつける? すぐそこの海の家に行くだけなのに。

「大丈夫だよ~。買ったもの持って転んだりはしないから」
「そういう意味じゃないんですけど……」

あずにゃんの不安そうな表情は変わらない。もう、あずにゃんは心配性だなぁ。

「じゃあ、行ってくるね~」

というわけで、海の家へごー! ふふふ、待っててね、おいしいお昼ごはん!




『Summer Seaside!!』(2)
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Author:松中 竜馬
百合が大好きなしがない人間。
唯梓は至高。
趣味はスポーツ観戦・麻雀・小説書き。

ブログの内容は二次創作百合小説が中心となります。
なので、こう言うのも何ですが、そういうのが苦手な方は見ないことをおすすめします。

ジャンルはけいおん!がメイン 
カップリングは唯梓

感想、ネタ振り、唯梓への想い等、コメントを頂けると非常に嬉しいです。百合好きな方、唯梓好きな方は色々と語り合いましょう!

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