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SS 夏蜜柑味

2010.07.09 *Fri*
夏のゆいあずSS三作目。

※唯梓
※短め
※梓視点


『夏蜜柑味』

「暑いね~、あずにゃん」
「暑いですね」

家の自室。私、中野梓は唯先輩と二人きり。

「ううぅ、ほんとに暑い」
「唯先輩が苦手っていうから冷房もつけられませんしね」

蝉の声がやかましい。外を照らす日差しは力強くて、夏真っ盛りという雰囲気。
八月も半ば。とうに立秋も過ぎたというのに、秋がやってくる気配は微塵もない。今日もまた、最高気温が三十度を超える真夏日だ。

「暑いよ~」
「扇風機の風で我慢して下さい」

机の上にはさっき食べた夏蜜柑ゼリーのカップが放置されている。唯先輩がおみやげに持ってきてくれたのだ。まぁ唯先輩が持ってきたというよりは憂が持たせたという方が正しいか。
口の中には、夏蜜柑の爽やかな酸味がまだ少し残っている。

「暑い暑い暑い~」

さっきからひたすらに「暑い」と言い続ける唯先輩を見て、私は溜め息を零した。

「現実的な解決策を教えてあげましょうか」
「え? なになに?」
「私に抱きつくのをやめればいいと思います」

そう、私は今ソファで唯先輩に抱きしめられたまま横になっているのだった。そりゃ、暑いですよ。私もすっごく暑い。

「え~、それはやだ~」

唯先輩はいやいやと首を振る。唯先輩の柔らかい髪が私の顔を撫でた。
もう一度、私は溜め息を吐いた。
夏で、私も唯先輩も薄着だ。だから、こんな風に密着すると必然的に素肌が触れ合う面積も大きくなる。絡められた素足、眼前の無防備な胸元、ほとんどダイレクトに感じる体温に今私がどれだけドギマギしてることか。
暑さのせいだけでなく、体が熱い。心臓が暴れている。
これだけくっついてるんだから、このうるさい鼓動が唯先輩に伝わっていないはずもない。弄ばれてるのだろうか。
どうしてこうなったのか。
受験勉強の息抜きとして私の家でギターの練習をしたいと言いだしたのは唯先輩で、でも来たら来たで結局練習もそこそこに休憩し始めて、おみやげのゼリーを食べて、さぁ練習を再開しようと思ったら「あずにゃ~ん」と抱きしめられて、そのままソファに倒れこんで。
全く、しょうがないんだから。
しかし「んー♪」という甘えた声で私に抱きついてくる唯先輩を見ると、怒る気にもなれない。
まぁいいか。
今日ぐらい、ゆっくりさせてあげよう。ここのところ、図書館で勉強したり夏期講習に通ったり、受験生としても結構頑張っているようだ。
……本音を言うなら、おかげで最近あんまり二人きりになれなかったから、私自身寂しかったし。
少しだけ、私の方から体を寄せる。

「あずさ」

私のその仕草に気付いたのか、唯先輩は優しい声色で私の名前を呼んだ。
私は唯先輩の顔を見る。文字通り、鼻をつきあわせる距離。私が抱きかかえられているから見上げるような形になる。
声色そのままの瞳が私をまっすぐ見つめる。ひたすらにまっすぐだ。曖昧さは欠片もない。
唯先輩のそのまっすぐさは、私の憧れだ。
まっすぐな言葉。まっすぐな気持ち。唯先輩はぼかさない、誤魔化さない。
それは難しいことだと思う。まっすぐに言葉を発して、まっすぐに気持ちを伝えて、それで相手に拒まれたら、それはまっすぐな分だけ折れやすい。
その恐怖を乗り越えて、折れない強さを持って、唯先輩は私をまっすぐに見つめる。
すごいと思う。
私も、そうなりたい。
だから、私もまっすぐにその視線を受け止める。刺さるような痛みを伴う感覚が、心地よい。
唯先輩は私の頭を撫でて、笑った。

「好きだよ」

好き。これまたどストレートな言葉だ。
その言葉に、言葉に乗せられた想いに触れて、私の心が熱くなる。わけもなく、涙が出そうになった。
体も心も熱くなって、思考に靄がかかる。熱さに浮かされるように、私は唯先輩の顔に自らの顔を近づける。
そして、唇で唇に触れた。
一度、二度。ついばむようなキス。さっきゼリーを食べたからだろう、いつもよりもひんやり感じる唇。
三度目は、唯先輩から。
可愛らしい舌が、私の唇の間に軽く押しつけられる。私は口を少しだけ開いて、それを受け入れる。喉から「んっ」とくぐもった音が漏れた。
そのまま、ゆっくりと味わうように唯先輩の舌が私の口内をなぞる。舌が絡まる。
柑橘類の味がした。

「んぅ、ちゅっ、……んく、っふぅ」
「ふぁっ、ん、ちゅ、……はぁ、ん」

深い深いキス。気持ちいい。もっともっと。
私からも舌を動かす。背中に回されていた唯先輩の手がぴくんと動いて、それからそっと私の後頭部に添えられた。
さっきよりも大きく口を開く。零れた唾液がソファに落ちるけど、気にしている余裕なんてない。
唯先輩の舌を全部感じたい。どん欲に私は求める。唯先輩も応えてくれる。

「んちゅ、ふぅ……んっ」
「……んん、っ、ふぅっ、はっ」

さらに強く抱きしめられる。私も抱きしめ返す。隙間を完全に埋めて、ぴったりと寄り添う。
もう、唯先輩しか感じられない。視覚も、聴覚も、味覚も、味覚も、触角も、唯先輩を感じるために使う。
うるさかった蝉の鳴き声も、眩しい光も、茹だるような暑さも全部忘れて。
まるで世界に二人だけみたいな錯覚に陥って。
私達は、夏蜜柑味のキスに没頭した。




唯と梓がちゅっちゅっしてるだけ。
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松中 竜馬

Author:松中 竜馬
百合が大好きなしがない人間。
唯梓は至高。
趣味はスポーツ観戦・麻雀・小説書き。

ブログの内容は二次創作百合小説が中心となります。
なので、こう言うのも何ですが、そういうのが苦手な方は見ないことをおすすめします。

ジャンルはけいおん!がメイン 
カップリングは唯梓

感想、ネタ振り、唯梓への想い等、コメントを頂けると非常に嬉しいです。百合好きな方、唯梓好きな方は色々と語り合いましょう!

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