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SS 君を知って

2010.06.29 *Tue*
※唯梓
※シリアス
※唯視点


『君を知って』

ひどく暑い日が続いている。今日もまた、暑い日だった。
容赦なく降り注ぐ太陽の熱、ぎらつく光を体いっぱいで感じる。本当に、暑い。
蝉の大合唱が街に木霊する。虫取り網と籠を持った少年達が隣を走って通り過ぎていく。高く大きい入道雲が、青い空にそびえ立つ。
そんな八月のお昼過ぎ。
夏で、夏休み真っ最中だった。

「あずにゃん、暑い~」
「わかってますって。ていうか、それもう十回以上言ってますよ……」
「だって、暑いんだもん……」

私、平沢唯はそんな茹だる様な暑さに中をふらふら歩いている。隣には軽音部二年生、可愛い後輩の中野梓ちゃん、(私だけの)通称あずにゃん。
私達は今、あずにゃんのお家まで向かっていた。

さっきの音楽室での出来事だ。
今日の練習は午前中で終わり。比較的涼しい時間帯に練習しようという魂胆だったんだけど、今日は朝からずっと暑かったのであまり意味はなかった。おかげで、練習は全くはかどらなかった。
何にせよ、午後いっぱいはフリーだ。さぁ何をしよっかなぁ、アイスを食べながらごろごろするとかいいかも、なんて考えながらギー太を片付けていると。

「今日の唯先輩は酷いです! ミスばっかりじゃないですか」

あずにゃんが今にも掴みかからんという勢いで私に迫ってきた。
うっ、実際今日は我ながら駄目駄目だったとは思うけど……。

「だ、だって、暑くて集中できないんだよぉ」
「おいおい、唯が体調悪くなるからクーラー効かせられないんだぞ? 本当はがんがんにしたいんだからな~」
「うぐ、ごもっとも……」

りっちゃんこと田井中律ちゃんに呆れたような顔で言われてしまった。ひと悶着の末、ようやく設置されたクーラーは私の体調を考慮されて結局あんまり活躍していない。
ぶぅ、仕方ないじゃん、お腹痛くなるんだもん。

「ていうか、集中も何も、まず根本的にできてないところが多過ぎです」

ぐさっと痛いところを突かれて、私は何も言い返せない。
そして、あずにゃんはすぅっと息を吸うってから、大きな声で言った。

「この後練習しますよっ!」
「ええぇ、私のごろごろタイムは!?」
「知りません。とにかく、私の家までついてきて下さい、いや、もう無理矢理にでも連れて行きます!」
「そんなご無体なっ。ふぇぇん、澪ちゃん、ムギちゃん、助けて~」

私は涙目になりながら秋山澪ちゃんと琴吹紬ちゃんに助けを求めたんだけど。

「まぁ、せっかくだしみっちり教えてもらうといんじゃないか」
「唯ちゃん、ふぁいとっ」
「見捨てられた~!」

こうして、私の楽しい自由時間の計画は呆気なく破綻したのです。

「暑い~。暑い暑い暑い、暑いっ。あずにゃん、なんとかして~」
「にゃっ!?」

私は隣を歩くあずにゃんに思い切り抱きついた。うん、やっぱり暑いね。

「……暑い暑い言ってながら、抱きついてくるんですね」
「あずにゃんに抱きつきたいって気持ちは暑さなんかでは抑えられないのですよ」

抱きついているから見えにくいけど、あずにゃんの頬に朱が差すのがわかった。照れてる照れてる。もう、可愛いなぁ。

「な、何言ってるんですか」
「抱きつかれるの、嫌?」

私はちょっと離れて、わざと少し悲しそうな顔を作ってから訊いてみる。昔のあずにゃんならきっとそれでも「嫌に決まってます!」とか言ってくるんだろうけど。
でも、今は違う。

「べ、別に嫌では、ないです」

あずにゃんの方から開いた距離を縮めて、ぎゅっと体を寄せてくる。これまた、昔のあずにゃんなら絶対にしないことだ。

「そうだよね。だって」

私は耳元に口を寄せて、囁いた。

「だって、恋人だもんね」

あずにゃんと恋人になったのは、もう三か月近く前のこと。
告白されたのはさらにそれより一カ月ほど前、新学期が始まったばかりのときのことだった。
それは本当に急で、いきなりで。いや、もちろんあずにゃんにとっては前から心の準備をしていたことだから、いきなりってのは私にとって、だけど。

部活がない日の放課後、音楽室に呼びだされた私は、そこであずにゃんに告白された。
好きだと言われた。付き合ってほしいと言われた。

ああ、顔を真っ赤にして秘めた想いを告白するあずにゃんの、天使のような可愛らしさといったら! と、今ならしみじみと思えるが、そのときは正直戸惑うばかりで。
だって、それまで女の子と付き合うなんて、ううん、そもそも誰かと特別な仲になるなんて考えたこともなかったから。
答えはすぐに出せなかった。けど、あずにゃんは淡く笑って言ってくれた。「待ってますから」って。「唯先輩がどんな返答をしてきても、私は受け入れます」って。
それからは、あずにゃんを意識して目で追う日々。ちょっとした仕草を可愛いと思ったり、真剣にギターを弾く姿を見て胸がどきっとしたり。
でも、よくよく考えてみればそれは今までとほとんど変わらなくて。
つまり、私はずっと前からあずにゃんのことを意識していたんだと思う。
私は恋なんてしたことなかったから、わからなかったけど。でも、一緒に居たい、もっと知りたいっていうこの気持ちはきっと恋だった。

だから、私は告白されてから一カ月が経ったゴールデンウィークのころ、OKのお返事をしたのです。

もう、三か月かぁ。早いなぁ。

この三か月の間に変わったこと。
二人で下校だけじゃなく登校もいっしょにするようになった。周りに誰もいなければ、手を繋いだりもする。
二人きりなら、あずにゃんは私のスキンシップも嫌がらなくなった。
二人で遊びに出かけるようになった。

いつもの生活に、あずにゃんが恋人になったという要素が加わっただけ。それなのに、今までだって十分に楽しかった高校生活は、より素敵で幸せなものになった。
なったんだけど。
一つ、小さく息を吐く。
人間っていうのは、現状では満足しないようにできているらしい。私の中で、あずにゃんにもっと触れ合いたい、あずにゃんのことをもっと知りたいという欲求がどんどん膨らんでいくのだ。
とりあえず、具体的には。

私はちょっと体を引いて、私とあずにゃんの間にスペースを作る。真正面から目の前の愛らしい女の子の顔をじっと見つめる。そして、きょとんとしたその表情もやっぱり可愛い、なんて思いながら、目を閉じて少しだけ唇を突きだしてみた。

キス、したいんだ。

私はあずにゃんとキスがしたい。その薄桃色の唇に、唇で直に触れてみたい。最初は「恋人同士ってどういうことをするのかな」と考えていたときにふと思いついた程度だったんだけど、一度考えてしまうともう想像は止まらない。
どんな感触なんだろう。どんな温度なんだろう。どんな味なんだろう。
知りたい。あずにゃんのことは、何でも知りたい。
だからたまにこうやって、おねだりみたいなことをしてみる。
それなのに。

「え、えと、あっ、飲み物! 自動販売機で、飲み物買ってきます!」

するり、と私の腕の中から抜け出すとあずにゃんは走っていってしまった。
そう、いつも、こうやって逃げられてしまう。
キスしたくて、してほしくて。でも、あずにゃんが私のその気持ちに応えてくれたことはない。何だか拒絶されているようで、傷つく。

「キスしたいって思ってるの、私だけなのかなぁ」

遠ざかっていくその背中に、私はそんな呟きを零した。

  ◇

「今日はこの辺にしときましょうか」
「つ、疲れた~……」

あずにゃんによるギター特訓が終了したときには、太陽はすっかりと傾いていた。
集中し過ぎて、もうエネルギー切れ。私はギー太を抱えたまま床に突っ伏してしまった。

「唯先輩、やっぱりやればできるんですよね」
「えへへ、それほどでも~」
「だからちゃんと練習してください」
「あぅ」

と、これはまぁいつもやり取り。お約束みたいなものだ。
というわけで、お約束ついでに。

「あずにゃ~ん」
「わっ」

私は起きあがってぎゅむっとあずにゃんを抱きしめる。ああ、この感触、この体温。疲れも一気に吹き飛ぶというものです。まさしく、エネルギー充電器。あ、一応言っておくけど、私専用だからね。

「も、もう、私の話、わかってるんですか?」
「わかってるわかってる」
「信用できません」
「ひどいなぁ……。あ、そういえば、今日ご両親は?」

これ以上お小言を言われるのも勘弁、ということで私は話題を変える作戦に出る。
と、なぜだか、あずにゃんはびくっと肩を跳ねあげさせた。ん? どうしたんだろ?

「え、えと。きょ、今日は二人とも帰ってくるの遅くなるらしいです」
「へぇ、そうなんだ……」

その、何だか漫画やドラマで聞いたことのあるような答えを聞いて、ふと、悪戯心が私の中に芽生えた。
私は一端、あずにゃんを離して、少し距離をとった。
それから、芽生えた気持ちそのままの表情を隠しもせず、おどけて言ってみる。

「じゃあ、あずにゃんはそんな誰もいないお家に私を連れ込んだわけなんだ」
「にゃっ!?」

あずにゃんは顔を真っ赤にして声を上げた。驚愕の表情で目と口をまんまるにしている。
ふふ、何かおもしろいかも。

「ううぅ、私、あずにゃんに食べられちゃうんだね……」

ちょっぴりしなを作って、あずにゃんを上目遣いで見つめる。

あずにゃんは「う、あ」と、しどろもどろでもう何だか可哀そうなくらい動揺した様子だ。
そして、ついには俯いて何も言わなくなってしまった。
あらら。やっぱり恥ずかしがり屋さんだなぁ。もうそろそろからかうのは止めてあげようか。
私が「冗談だよ」と言おうとした、そのとき。

「……ですから」

あずにゃんが、ぽつりと何かを呟いた。それはあまりにも小さな声だったので、一回では聞き取れなかった。

「え? 何?」

だから、私は聞き返す。すると、あずにゃんは顔を上げないまま、搾り出すように言葉を繰り返した。

「大丈夫ですから」

へ? 大丈夫? 何が? 

「唯先輩が嫌がるようなことは、しませんから」
「はぇ?」

今度は私が吃驚する番だった。
あずにゃんの口から放たれた言葉をゆっくりと咀嚼する。

(「唯先輩が嫌がるようなことは、しませんから」?)

私は自分でも抜けているところがあると思うし、鈍感だとも思うけど、でもそんな私でもその言葉の意味する事ぐらいはすぐにわかった。

(……えっと、あの、本当にそういうことだったんでしょうか?) 

今のセリフ。
わざわざ「嫌がるようなことはしない」と宣言するということは、つまり裏を返せば、あずにゃんは私が嫌がるかもしれないようなことをしたいってことで……。
あずにゃんはそれ以上何も言わない。
い、いかん。とりあえず、何か喋らなくては。
私は焦って口を開いて、

「あの、嫌がるようなことって……?」

後悔した。

うわぁぁん、私のお馬鹿! 何でそんなこと訊くかな!? ほら、あずにゃん、顔を手で覆っちゃったよ! 余計に気まずくなっちゃう!

「ごめん、ナシ。今のナシで……」

ぶんぶんと顔の前で手を振って、有耶無耶にしようと試みる。でも、もう時すでに遅し。すっかり気まずい雰囲気になってしまっていた。
やってしまった。

(それにしても)

私は顔を覆ったままのあずにゃんを見る。うわぁ、耳まで真っ赤だ。どうやら、私の読みに間違いはないみたい。
……そんなあずにゃんを見ていると、何だかどきどきしてくる。
そっかぁ、あずにゃん、意識してたんだね。まぁ、恋人と誰もいない家に二人っきりってシチュエーションは、王道と言えば王道なのかもだし。

でも、疑問はある。

その、嫌がるようなことっていうのは、つまり、キスだったり、よくわからないけど、それ以上のことなんだと思う。
だけど、あずにゃんは今まで私がキスをしたいという意思表示をしても応えてくれなかったじゃないか。だから、私はてっきりあずにゃんは別にキスをしたいとは思ってないんだとばかり。
どういうことなんだろう。

……やってみれば、わかるよね。
こういうときは動こう。止まってうじうじ考え込むなんて私らしくないし!

私はぐっとあずにゃんの両肩を掴んだ。急なことに驚いたのか、あずにゃんは顔を上げた。目と目が合う。
あずにゃんの顔は真っ赤なまんまで、その瞳は潤んでいて。
ナニコレ。
すっごい恥ずかしい。顔から火が出そう……。
でも、私はぐっとお腹に力を入れて真っすぐあずにゃんの瞳を見た。
揺れている。あずにゃんの中で、感情が揺れているのがよくわかった。

「ねぇ、あずにゃん」
「は、はい……」
「キス、しよっか」
「っ!」

その揺れが、一段と大きくなった。
私は肩を掴む手に込める力を少し強くする。そして、あずにゃんを引き寄せようとした、のだけど。
あずにゃんはふいっと横を向いてしまった。

「……どうして?」

気がつけば、私はそんな言葉を零していた。
わからない。
あずにゃんのことは何でも知りたいのに。全部わかっていたいのに。
それなのに、今あずにゃんが何を考えているのか、私には全然わからなかった。

「教えてよ、あずにゃん。あずにゃんは、私とキスしたくないの?」

あずにゃんは答えない。もしかしたらだんまりを通すつもりかもしれない。
そんなの、許さないんだから。
私は肩を掴んでいた手をあずにゃんのほっぺたに添えて、半ば無理矢理にこっちを向かせた。そして、その目をじっと見続ける。
そのまま数秒の沈黙を置いて。
観念したようにあずにゃんは口を開いた。

「……したいですよ。ものすごく、キスしたいです」
「じゃあ、何で」
「自信がないんですよ」

自信?
いきなり出てきた単語に私は首を捻った。

「私、唯先輩のことが好きです。始めて見たライブで一目惚れして、実際に会ってちょっぴり幻滅して、でも気になり続けて、ずっと目で追って、抱きつかれる度にどきどきして、つけてもらったあだ名で呼ばれるだけで嬉しくなって、文化祭ライブの一件で恋を自覚して」
「……うん」

捲し立てるように話すあずにゃんに私は頷くことしかできない。

「本当に、すごく好きなんです。好き過ぎて、だから、怖いんです」
「怖い? 何が?」
「唯先輩を傷つけてしまうことが」
「どうしてキスすることが私を傷つけるの?」

あずにゃんの言わんとしていることが全く理解できない。さっきから、頭の中では疑問符が飛び交っている。

「……私の好きと唯先輩の好きは違うんじゃないでしょうか」

突然の衝撃発言に、私は絶句した。するしかなかった。
そんな私を放って、あずにゃんは言葉を続ける。

「唯先輩は友人に向ける好意と、特別な人に向ける好意をごっちゃにしてるんじゃないかって。今は私が告白して意識させてるから、私に対する好きを恋だと勘違いしているだけなんじゃないかって。……正直、そんなことはないって思えるほどの自信が私にはないです」

絶句して、真っ白になった頭の中に次に浮かんできた感情。それは。

「いつか本当の恋に出会ったときに、きっと私との関係が唯先輩の枷になってしまうと思うんです」

それは憤りだった。

「そんなのは、嫌なんで。だから少なくとも、キスとか、そういう回数や形として残ることはしないでおこうと。私は今こうして唯先輩が本当の恋に出会うまでの間、隣に居られるだけで十分幸せですし――」
「とぅっ!」
「いたっ!?」

うむ、くりてぃかるひっとってヤツですな。
私はあずにゃんの頭目掛けて力強くチョップを振り下ろした。こっちの手も結構痛かったんだけど、そんなの気にしない。

「あずにゃん、それは自分勝手過ぎるよ」
「…は、い?」

むっとした表情を作って「怒ってるよ!」をアピール。あずにゃんはいきなりのことに戸惑っているみたい。

「私だって、あずにゃんのこと大好きだよ」
「だから、それは――」
「ううん、あずにゃんと一緒」

私はゆっくりとかぶりを振る。

「私、あずにゃんとはずっと一緒に居たいって思うし、一緒に居たらどきどきする。もっと触れたいって思う。もっともっとあずにゃんのこと知りたいって思う。それはずっと前から、出会ったときから思ってた。これって恋じゃないの?」

目を閉じて、自分の中の想いを確かめるように、大好きな彼女に届けられるように言葉を選ぶ。

「確かにね、私は今まで恋なんてしたことなかったよ。だから、答えなんて知らないけど、でもこれが恋じゃなかったら私、一生恋なんてできない気がする」

真剣に、私は話しかける。この気持ちが、想いがちゃんと伝わるように。
あずにゃんはぽかんと口を少し開けて、私を見ている。そんな可愛い恋人に私は微笑んだ。

「この気持ちの正体は、あずにゃんが教えてくれたんだよ? あずにゃんが初めての人で、それからきっと最後の人」

断言できる。私の勘がそう告げている。これでも勘はいい方だ。

「だから、キスもそれ以上も、あずにゃんがしてくれないと困るんだけど」

ふんすっと鼻息荒く私は言葉を締めた。
私だって、あずにゃんのことが大好きなんだから。私達の好きが違うだなんて、私のは恋じゃないなんて、とんでもない。あずにゃんの私を好きだって気持ちになんか、私のあずにゃんを好きだって気持ちは負けないんだからね。

あずにゃんはしばらくそのままの表情で固まっていた、と思うと、おずおずと私の胸に体を寄せてきた。
私も、両腕であずにゃんを抱きしめる。

「……自惚れちゃっても、いいですか」

私の胸に顔を埋めながらだから、その声はくぐもっている。私はその綺麗なストレートの髪の毛をすくように、頭を撫でてあげた。
くすぐったそうに身をよじる様子が、たまらなく愛おしい。

「私が思ってる以上に、私は唯先輩に好かれてるって信じていいですか」
「好かれてる、なんてもんじゃないよ。愛してる」
「……そういうこと軽々しく言うから、不安になるんです」
「ええ……率直な気持ちなのに」

腕の中で、あずにゃんはころころと笑う。
多分、あずにゃんの中の不安や心配を完全に取り除いてあげることはできないと思う。だって、あずにゃんのそれらは、未来に対するものだから。今の私がいくら何を言ったところで、未来を絶対的に保障するものにはならない。
だから確実に今、精一杯あずにゃんを愛そう。それを積み重ねていけば、未来もいつかは今になるよ。

「ごめんなさい、唯先輩」

気持ちを疑ったことに対する謝罪。でも私が欲しいのはそんな言葉じゃない。

「……愛してます」

思わず、顔が綻んだ。

「あずにゃんだって、軽々しく言ってるじゃん」
「率直な気持ちです」

私達は笑い合った。
それから、目を閉じて少しだけ唇を突きだしてみる。いつもならここで逃げられちゃうんだけど。
今回は、すぐに唇に温かい感触があった。
薄っすら目を開けると、目の前にあずにゃんの顔。目をぎゅっと瞑っている様子が何だか可愛らしい。
ああ、今キスしてるんだ。大好きなあずにゃんと。柔らかい。温かい。味は……しないけど、これは『あずにゃん味』とでも名付けておこうか。
そして、何より、キスってこんなに心が満たされるものなんだ。うん、好きな人とするから、なんだろうね。
すっごく嬉しくて、幸せで。

だけど。

こうやって唇を触れ合わせるだけじゃなくて、唇を舐めてみたらどんな感じなのか。舌を絡めて見たらどんな気分なんだろう。そんなことをふと思ってしまって、心の中で苦笑した。
私って、こんなにどん欲だったんだ。
あずにゃんのことを知るたびに、知らない私に出会う。それもまた、恋の醍醐味ってヤツなのかもしれない。
これから、もっともっと色々なことを経験していくだろうけど。そのたびにお互いへの『好き』がもっともっと深まっていけばいいな、と私は思った。




まぁ、初キスのお話が書きたかったのですよ。


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2010/06/29(火) 23:08:41 | | - # [Edit

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松中 竜馬

Author:松中 竜馬
百合が大好きなしがない人間。
唯梓は至高。
趣味はスポーツ観戦・麻雀・小説書き。

ブログの内容は二次創作百合小説が中心となります。
なので、こう言うのも何ですが、そういうのが苦手な方は見ないことをおすすめします。

ジャンルはけいおん!がメイン 
カップリングは唯梓

感想、ネタ振り、唯梓への想い等、コメントを頂けると非常に嬉しいです。百合好きな方、唯梓好きな方は色々と語り合いましょう!

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