--.--.-- *--*
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

SS HAPPY DREAM

2011.03.04 *Fri*
※まどか☆マギカSS
※杏さや
※杏子視点
※9話ネタバレ込み



『HAPPY DREAM』

この世は思い通りにいかないことで満ち溢れている。
何かを得るためには、何かを犠牲にしなくてはならない。自分を、誰かを救いたければ、誰かを、自分を傷つけなければならない。
理に叶った理不尽。情に溢れた無情。
そんなことはわかっていたはずだ。痛いほど、心に刻みつけられていたはずだ。
だから私は鼻で笑ってやるだけで良かったのに。
他人のためだけに願い、他人のためだけに自らを振るう、愚かな少女。
嘲笑してやって、無残に散っていく様を遠巻きに眺めているだけで、良かった、はずなのに。

どうしてこうなったんだろうな。

……なんて、答えは出てるようなもんだが。

「さやか」

なぁ、聴こえてるか? 私の声、届いてるか?
今からお前に大事なことを言う。一回しか言わねぇから、よぉく聴いておけよ?

それは絶望しか残されていない私から、同じく絶望しか残されていないお前に送る、精一杯の希望の言葉。

「さやか、私、お前のこと」

私は瞳を閉じる。















暗転















私はゆっくりと瞼を開く。

体ががたがたと震えている。寒い。けれど、じっとりと嫌な汗を全身にかいている。この上なく気持ち悪い。
私はベッドの中で身をよじって、胎児のように小さくなった。全く、いつからこんなに自分は弱くなってしまったのだろうか。
たかだか悪夢の一つや二つ、私が立ち向かってきた現実に比べたら、屁でもないじゃないか。
そう思いはしても、震えは止まってくれない。
ああ、そうだ。今のはただの『悪夢』なんかじゃない。数か月前に起こった、悪夢のような現実の焼き回しだ。
私がこの街に来て、まだ数日しか経っていない頃に起こった、紛れもない、現実。
いつまで私に付き纏うつもりだ。
震えを止めるための温もりを求めて、ぎゅっとふとんを自らに引き寄せる。しかし、そんなものじゃこの冷えた心はどうしようもない。
以前なら同じような事になっても耐えられただろうな、と思う。
前の私なら。

「んぅ……はれ、杏子、どしたの? 丸まちゃってさ」

背中に、誰かに抱きつかれた感触があった。
そう、今の私はこの温もりを知ってしまったんだ。人の体の、人の心の温かさを。もう、手離せやしない。
私はいてもたってもいられなくて、くるりと体を翻してその誰かさんに抱きつき返す。
そいつは「うぉ!?」と一瞬驚いた声をあげたが、すぐに幼子をあやすような手つきで私の頭を撫でてくれた。

「なに、怖い夢でも見た?」

どこか母性を感じさせるような慈愛に満ちた声が私の耳をくすぐる。それがまた心地よくて、私は抱きしめる力を強めてから頷いた。

「お前が、さやかが魔女になっちゃったときの、夢、見ちゃって、それで、またさやかがいなくなるかもって」

口から漏れだす言葉は、まとまらない。想いがそのまま溢れだすようで、どこか支離滅裂。
それでも、そいつ、美樹さやかは私の頭を撫で続けてくれる。安心を、温もりを与えてくれる。

「大丈夫」

ああ、言葉ってすごいな。

「私はここにいるから」

さやかの声で、一言「大丈夫」って言ってもらえるだけで、こんなにも心が安らぐ。落ち着く。
それは、どんな魔法よりも素晴らしいと思った。
私は体を離して、至近距離でさやかと見つめあう。ぱっちりとした目。長い睫毛。蒼く澄んだ瞳。短めの髪は、触れると絹のような手触りだ。

「おはよう、杏子」

さやかがにこりと微笑んだ。

私、佐倉杏子は今、美樹さやかの家に居候している。
数か月前、私とさやかは出会った。最初は巴マミが死んだと聞いて、この界隈を奪ってやるつもりで私はさやかに接触した。
さやかは聞いていた通りのひよっこで、私の相手にはならなかった。正直、殺してしまってもいいと思っていた。ただ、回復が異常に速いという特性のせいで時間がかかり、結局暁美ほむらに邪魔をされる形になってしまった。
思えばあそこから、私は変わっていったんだ。
さやかが私の過去と同じような過ちを繰り返そうとしていると知って、放っておけなくなった。ソウルジェムに隠された真実を知って、このまま独りで生きていくことに不安を覚えた。
だから、わざわざ呼び出して、私の過去を語り、考えを改めさせようとした。仲間になろうとした。

でも、さやかは拒絶した。

私がやったりんごを受け取らないと言った。正しいやり方で手に入れたものじゃなければ、受け取れないと。
愕然とした。コイツの中の気持ちはどれだけ強固なのだと、何でそんなにわからず屋なのかと憤った。
でも、だからこそ私はさやかに惹かれていったのだと思う。
私は途中で進む道を、信念を変えた。徹頭徹尾、自分のためだけに魔法を使うと決めた。でも、さやかは絶対に自分のためには魔法は使わないと、他人のためだけに魔法少女として戦うと言い切った。
それはただの自棄でしかなかったのかもしれないけど、間違っていたのかもしれないけど、さやかはその道を行くと決めたのだ。
私はそんなさやかをやっぱり放っておけなかったし、それに、見ていたかったんだと思う。

決定打が何だったのかは詳しく知らない。だが、その後さやかのソウルジェムは黒く濁り切った。
希望と絶望はプラマイゼロ。誰かの希望のために戦い続けたさやかは、誰かを憎まなくては釣り合いが取れない。

さやかは、魔女になった。
絶望を振りまく、あらゆるものから忌み嫌われ、あらゆるものを忌み嫌う魔女に。

私は必死に考えた。
どうにかして、さやかを元に戻す方法はないのかと。そして一か八かの策として、さやかの親友、鹿目まどかを連れて行って、彼女の声で呼びかけてもらうことにしたのだ。
親友の声なら届くかもしれない。駄目元の、一縷の望みだった。
あの日のことは、昨日のことのように思い出せる。
鹿目まどかを連れて、魔女になったさやかを探し出した。魔女になってしまったさやかには親友の声も届かなかった。それどころか、殺そうとした。
私も必死だった。魔力をさやかの体の鮮度を保つため使い続けていたので余裕はなかったし、その上、誰かを守りつつ戦うというのも初めて。
正直、絶望的だった。ここで、死ぬんだなと思った。
だから、わたしは暁美ほむらが鹿目まどかを助けたの見届けて、決心したのだ。
魔女を、さやかを殺すと。
そして、私も死のうと。
魔女を倒し、ソウルジェムを砕く。それで全部お終いだ。
不思議と悪い気はしなかった。むしろ、穏やかな心持ちだった。私の最期として、これなら悪くないな、と思えたのだ。私は独りで逝くわけじゃないし、さやかを独りにすることもない。これで、いいじゃないか。
ありったけの力を振り絞って、私は最後の一撃を放つ。
さやかに私の全てをぶつけた。
力も、想いも、言葉も、全部、全部。

それで、お終いだったはずなのに。

私は気がつくと、魔女空間に入った場所で倒れていたのだ。
そして、私の隣には蒼い、さやかを想わせる澄んだソウルジェム。

かくして、どんな奇跡か偶然かは知らないが無事にさやかを魔女の姿から解放することができたのだ。

それからは、今までの「どうしようもなさ」が嘘のように全てがとんとん拍子で進んでいった。
糞野郎のキュウべぇはいつの間にかいなくなっていた。
魔女の出現も激減した。
暁美ほむらが、グリーフシードの処理方法を知っていた。

結局、ワルプルギスの夜は来ていない。とは言え、いつ来るかもわからない状況らしいから、私はまだしばらくこの街に滞在することにした。
そう決めたとき、さやかが言ったのだ。「何だったら、ウチに来なよ」と。
まぁ、その時も一悶着あったわけだが、結局私はさやかの家に居候をする形になった。しかも、居候だけではない。さやかの両親は本当に優しくて、私を学校に通わせてくれているのだ。
密かに学校というものに未練があった私としてはこれは思いがけない喜びだった。何でも、さやかが上手いこと取り計らってくれたらしく、私はさやかの恩人ということになっている。
「まぁ、命の恩人であることには変わりないしね。流石に魔法少女だの魔女だのは言ってないけど」とさやかは言っていた。

と、まぁ少々長くなってしまったが、そんな感じで。
私は、ちょっと特殊な力を持つ、でも、基本的には普通の女子中学生になったのだった。
さやかにも、さやかの両親にも、感謝してもしたりない。私が完全に諦めていた『普通の生活』の場を与えてくれたんだから。
しかもこんな風に、自分の部屋までもらえて――

あれ。

私の頭に疑問符が浮かぶ。

ここ、私の部屋、だよな?
私が「使っていい」と言われた、私一人の部屋、のはずだ。
だから当然、夜寝る時もこのベッドに一人で入った、はずだ。

そして、目が覚めて、今に至る、はずだ。

……何か、増えてねぇ?

私は思考を止める。
もう一度、さやかの、明らかに『増えた』人間の顔を見る。
そこにはさっきまでの笑顔とはまた違う、にやにやとした笑みが浮かべられていた。

それを見て、ようやく頭が覚め切った。

「くふふ、や~、やっぱり寝起きの杏子は可愛いねぇ~。いつもこんなに素直だったらいいのに」
「あ、あ、や」
「あらあら、口ぱくぱくさせて、金魚みたいでちゅよ~、杏子ちゃ~ん」
「~~~っ!」

あ~~! 何てことを私は口走っちまったんだ! さやかに私を弄る格好のネタを与えてしまっただけじゃないか!
悶絶する私の頬を突きながら、さやかは「で? で? どんな夢見たって?」「杏子、顔真っ赤ぁ。かっわいい~」なんて鬱陶しいことを言ってくる。もう、最悪だ……。

うん、いや、ていうか。

「勝手に人のベッドに潜り込むのはやめろって言ってんだろぉぉぉぉぉぉっ!」


   ◇


「はあ、朝から疲れたよ……」

朝の空気はまだ冷たい。でも、空気の匂いに微かに温かさが交じっている。春は遠くない。
私は、ようやく慣れだした制服というものに身を包んで、学校までの路を歩く。

「もぅ、何も叩かなくても」

まだ痛むわ……と頭をさすってぶつぶつ言いながら、さやかが私の隣を歩く。
二人揃っての登校。これもまた、私が望んでいた『普通』の風景。日常。

「うるせー、自業自得だ。お前が妙なことするからだろ」
「妙なことって何よ。私はただ一緒のベッドに入っただけじゃん。そっちが急に甘えてきただけで」
「くっ、わ、私が寝起き弱いこと知ってる癖に」
「うん。あんたの貴重なデレを見られる数少ない時間だね。寝坊して見逃してしまった日はその日一日憂鬱です」
「確信犯じゃねぇかよ」
「それに、杏子は良い抱き枕なんだよ。一度その感触を知ってしまうと、もう病みつきになってしまうのだ!」
「えっ、寝てる間に抱きつかれた記憶なんてないぞ」
「そうなの? 私がぎゅっとやると、大抵杏子も抱きしめ返してくるけど? 今日の朝みたいな感じに」
「そ、そんな恥ずかしい事してねぇよ!」
「無意識って怖いねー。あ、それからさ」
「ん、な、何だ」
「最近お腹のお肉ヤバいんじゃない? 食べ過ぎ、運動不足でしょ。私的には抱き心地良くなってグッドだけどさ」
「うがぁ! 余計なお世話じゃあ!」

どうでもいい会話。他愛もないやり取り。
それがどうしてこんなにも愛しいのか。こんなにも心が満たされるのか。
さやかといるのは楽しい。さやかといるのは嬉しい。さやかといると胸の奥が、心が熱くなる。どうしようもなく、喜びの声を叫びたくなる。
これって、何なのだろうか。

「ほら」
「へ?」
「手」

少し考え事をしていた私に、さやかが手を差しだしてくる。

「はぁ、やっぱり今日も、か」
「何、嫌なの?」
「……別に」

そして、私はその手をとった。

初めて登校する日のこと、いきなりさやかは言いだしたのだ。「これから登校するときは、手を繋ぐこと!」なんて。
私は最初、反対した。何でそんなこっ恥ずかしいことをしなきゃなんないのか、と。
でも、さやかの家においてもらうことが決まった直後だったし、私は強くも言えなくて。「いいからいいから」と満面の笑みで押し切るさやかに根負けしてしまったのだ。
だから、私達は手を繋いで登校している。教室に入る直前まで離してくれない。途中で鹿目まどから友人に会っても離してくれない。もう、恥ずかしくて仕方がない。
でも、さやかの笑顔を見ているとそれだけで「ま、いっか」なんて思ってしまう自分がいるのも確かだった。
一時は笑顔を忘れて、絶望だけの存在になってしまった彼女がこうして私の目の前で笑ってくれている。そう考えると、大概のことは許せてしまう。……食べ物を粗末に扱うのは駄目だが。

これも、ちょっと前の私からは考えられないことだ。いつもイラついていて、何もかもが許せなくて、ただ只管に戦い続けた日々。
それを思えば、今の何と平和なことか。
何と幸せなことか。
これもまた、希望と絶望はプラマイゼロってヤツなんだろう。今までの絶望の分だけ、希望を得てもいいんだよな。

まぁ、でも、さやかにとっては全部が上手くいったわけじゃない。

「それでさぁ――」

雑談を続けていたさやかの口が止まる。その視線はある一点で固定されている。私もその線を追う。

そこには仲良く登校する二人の男女の姿があった。

志筑仁美。さやかの親友。
上条恭介。さやかの好きな人で、さやかの願いで怪我から回復した人間。
ちゃんとは聞いていないが、この二人がさやかの絶望を加速させたのは間違いない。
あの二人を恨むのは筋違いだ。彼も彼女も、何も悪くない。魔法なんて、魔女なんて、全く知らないんだから。
それでも、私の心は苛立つ。
あの二人を見る時だけは、さやかは悲しそうな顔をする。今だってそうだ。本人は気付いているのか知らないが、その表情は暗い。
その顔は、どうしてもさやかが魔女になってしまったときのことを私に思わせる。

「どうしたの?」
「え?」

さやかが急に立ち止って、私の顔を覗き込む。手を繋いでいた私も自然と歩みが止まる。

「えっと、何がだ」
「いや、いきなりあんたが手を握る力を強めたから、何かあんのかなって」
「そ、そんなことしてたか?」
「うん」

さやかは真剣な顔になって、私の顔を、瞳をじっと見る。今、そこには私しか映っていない。それが、何故か嬉しいと思う。

「あんたがそうやるときって、大抵不安なときなんだよね」
「……わかったようなこと言いやがって」
「でも、事実でしょ」

はぁ、バカっぽいくせに、変に鋭いんだから、コイツは。
そんなことを言われて、そんな目で見られてしまっては嘘はつけない。
私もさやかの目を見つめ返す。

「なぁ、やっぱまだ、アイツのこと好きなのか?」

訊くべきではないかもしれないと思った。触れずにそっとしておいてやる方がいいのかもしれない。
上条恭介の、好きな人の幸せを願った。代わりに、自分は絶望を引きうけた。見返りはない。それどころか、結局願いを捧げた彼は親友と恋仲になるという仕打ち。
さやかの絶望の根幹。
触れてしまってはいけない。そう思っていたけど。

でも、そろそろケジメをつけなくてはいけないのじゃないか。いつまでも引きずってうだうだしていても、いい事ありゃしない。
それは私にも言えることだ。
心に潜む不安を、このまま抱え続けるのはよくない。それは絶望の種になる。最悪の災厄を生む。
だから、そろそろきっちりさせとこうや、さやか。

一瞬の静寂。
風が吹く。さやかの髪がなびく。さやかの瞳がまっすぐ私を捉える。そのまっすぐさを綺麗だと思った。

「……まぁ、完全に吹っ切ったって言ったら、嘘になるよね」

さやかは天を仰いだ。
何かが零れ落ちるのを防ぐような、そんな仕草。
胸がぎゅっと締めつけられた。

「私はずっと恭介のことが好きで、恭介のために魔法少女になって、それなのに、結局あいつは仁美と付き合っちゃうしさ。何て言うのかな、ほんと、どうしようもない気持ちになる」

暁美ほむらなら「魔法少女ってそういうものよ」なんて澄ました顔で言うのかもしれない。
前の私でも似たようなことを言ったかもしれない。
でも、今の私には何も言えなかった。

「でもさ、もう、いいんだ」

さやかが顔をこちらに向ける。

「もう、いいの。だから杏子、心配しないで」
「……強がんなよ」
「強がりと強情が私の取り柄だからね」
「そんなの取り柄になんねぇよ」

ああ、駄目だ。上手く言葉が出てこない。どうしたらいいんだ。何を言えばいいんだ。
伝えたい。私の気持ち、私の想い。
間違っても、もう二度とさやかをひとりぼっちにしないためにも。
間違っても、もう二度と私がひとりぼっちにならないためにも。

「私はここにいるぞ」

私の口からぽろっと零れた言葉。会話の繋がりも脈絡もない、ただの短いフレーズ。
ああ、もう、私は何を言ってんだ。
自分の口べたさ加減が嫌になる。ほら、さやかだって、何を言ってんのかわからないって顔を。

「ありがとう」

しかし私の予想に反して、さやかは柔らかく微笑んで、そう言った。
伝わった、のだろうか。ほとんど何も言っていないに等しいのに、この私の中にあるものが、ちゃんと届いたのだろうか。
さやかが私の手を握る力を少し強めた。
わかってるよ。届いてるよ。そう言われた気がした。

「それにさ、私、多分もっとずっと大切なもの、見つけたから」
「え?」

もっと、ずっと、大切なもの? ずっと献身的に見守ってきて、自分の命を差し出してまで救いたかった、上条恭介よりも?

「何だ、それ?」
「ふっふっふ、それは内緒。さ、急がないと遅刻しちゃうよ」

突然、さやかが腕に抱きついてきた。そして、私を引っ張って走り出す。
私は「うわ、ちょ、待てよ」と情けない声を上げてその後をついて行く事しかできなかった。

さやかが見つけた『大切なもの』が何なのかはわかりかねるけど、少なくとも、今、さやかは笑っている。きらきら笑っている。
ああ、もう十分だ。
今、私は幸せだ。
私も、いつの間にか満面の笑みを浮かべていた。
この幸せがずっと続きますように。私は心の中で神に祈った。















風に乗って、声が聴こえた。

「ね、杏子。私さ、あんたのこと」

びゅぉっと風が強くなる。私は思わず、目を閉じる。















暗転















私はゆっくりと瞼を開く。
ああ、何だか幸せな夢を見ていたみたいだ。ほんの一瞬の間だったけど、神様は私の願いを叶えてくれたらしい。最期に幸せな夢を見せてくれたらしい。
あんまり思い出せないけど、笑っちゃうくらいご都合主義な展開だった気がする。現実は、そんなに上手くいかない。当たり前だ。
でも、さやか、夢の中のお前の笑顔だけはよく覚えてるよ。
おかしいよな。お前、私の前で笑ったことなんてほとんどないのにな。
いいさ、これから時間はたっぷりある。笑顔くらいいつでも見られるさ。私はお前といっしょに居るって決めたんだから。
嫌だなんて、言わせねぇぞ? 独りじゃないだけ、ありがたいと思いな。
……ま、ほんとは私が独りで居たくないだけなんだけど。私がお前といっしょに居たいだけなんだけど。

この気持ちを何と呼ぶのか。よくわからない。
でも、言葉にするならこれしかないんだ。
絶望しか残されていない私から、同じく絶望しか残されていないお前に送る、精一杯の希望の言葉。

「愛してるよ」

強烈な光と爆風が私を襲って、私の意識は途切れた。
光の中に、さやかの泣き笑いの顔を見た、気がした。

幸せな夢よ、永遠に。




ということで、杏さやよ永遠に……。
後本編は3話。残されたまどかとほむらは何を思い、どう行動していくのか。
しっかり見守っていきたいです。

そして私は合同誌SSを書かなくては。
スポンサーサイト

COMMENT

はじめまして。

最高でした。そして、この物語を有難う。
2011/03/04(金) 21:51:44 | URL | - #233oTK86 [Edit
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2012/08/05(日) 20:12:21 | | - # [Edit

Comment Form


秘密にする
 


TRACKBACK

TrackBack List



06
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30

時計



最新記事



プロフィール

松中 竜馬

Author:松中 竜馬
百合が大好きなしがない人間。
唯梓は至高。
趣味はスポーツ観戦・麻雀・小説書き。

ブログの内容は二次創作百合小説が中心となります。
なので、こう言うのも何ですが、そういうのが苦手な方は見ないことをおすすめします。

ジャンルはけいおん!がメイン 
カップリングは唯梓

感想、ネタ振り、唯梓への想い等、コメントを頂けると非常に嬉しいです。百合好きな方、唯梓好きな方は色々と語り合いましょう!

当ブログは、リンクフリーとさせていただきます。
コメント、拍手等でご報告いただければ、相互リンクさせていただきたいと思います。



カテゴリ

openclose



カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -



月別アーカイブ



リンク



検索フォーム



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



Copyright © 青春桜花 All Rights Reserved.
テンプレート配布者: サリイ  ・・・  素材: chaton noir  ・・・ 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。