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SS ぷれぜんと!(1)

2010.12.17 *Fri*
※唯梓・ちょっぴり律澪
※唯誕生日記念SS
※ギャグ、にしたつもりが何故かシリアス入ってしまった
※律視点


『ぷれぜんと!』

「わたし、あずにゃんがほしい!」

「……は?」

そのあまりにも突然で唐突で突発的で脈絡の欠片もなくて意味不明な告白に私、田井中律は面食らって、アルファベット横文字の羅列が記された問題集にやっていた視線を声の方へと向けた。

そこには鼻息を荒くした友人、平沢唯の姿があった。

え、えと。
わたしはI。
ほしい? want to.
あずにゃん。AZUNYAN? あれ、そんな単語あったっけ……。
私は手元の電子辞書に手早く文字を打つ。
AZUNYAN。該当する英単語、なし。

「りっちゃん、おーい、りっちゃん、聞いてる?」
「唯、AZUNYANって何だっけ」
「何言ってるのりっちゃん、あずにゃんはあずにゃんじゃん。二年生で、後輩で、ちっちゃくて、めちゃくちゃ可愛くて、髪の毛綺麗で、ネコミミが最高に似合って、抱きご心地最高で、ギターがすっごい上手くて」
「悪かった。私が悪かった。あずにゃんはあずにゃんだよな」

こいつ、止めないと語り尽くす気だ。

そうか。そうだよな。やっぱりその『あずにゃん』だよね。
……いや、わかってたよ? すぐにあずにゃん=梓の図式が成り立たなかったってだけで。
だって、よりにもよって「あずにゃんがほしい」だぞ? いきなりだぞ? そんなの、理解できるほうがおかしーし。

「なぁ、唯。私達は今、音楽室にいて、澪とムギがさわ子先生と最終進路面談、梓からはホームルームの延長と掃除で遅れるってメール、というわけで久しぶりに監視の目なくのんびりできるぜ~! と思ってたら澪に『私とムギが来るまでに英語の問題集のここからここまでを終わらせること! でないと、ムギのおやつは没収だ』なんて横暴なことを言われて、渋々果たして将来使うのかどうかもわからない異国の言語と格闘してる最中だったよな?」
「そうだけど、何でそんなに説明口調なの?」

はてさて私は何故いちいちそんなこと口走ったのだろう、と不思議に思ったが、いやいやしかしそんなことは些細な問題である。

「せっかく真面目に勉強やってたのに、台無しじゃないか」

長文問題がまだ後一つ残ってる。澪達が来るまでにさっさと仕上げなきゃいけないというのに。

「思いついちゃったんだもん」
「思いついちゃったって……。勉強してる最中に『あずにゃんがほしい』とか考えてるんじゃねぇよ……。何でまた急に」
「だってさ、明後日の土曜日、私の誕生日でしょ」
「そうだな」
「でね、あずにゃん何くれるかなー、って考えてて、あずにゃん、あずにゃんくれないかなーって」

何で日本語不自由な感じになってんだよ。あれか、英語の勉強のし過ぎでおかしくなったか。
そんなツッコミを脳内でいれる。

しかし――。

私は無邪気な笑顔の唯を見て思う。

ほしい、ってどういう意味だ?

そりゃあ、手に入れたい、自分の物にしたいっていうことだけど。それは普通、物に対して使う言葉だ。
人間相手に使うと、意味が変わるというわけではないが、ニュアンスが何だか違うというか。漫画的に「お前がほしい」って言えば、それは「付き合ってくれ」ってことだし。
だけど、なぁ。
何せそこは唯である。大した意味はないのだろう。妥当なところで「一日中抱きついてたい~」とか、いや、それも梓からすれば結構大変だろうけど、まぁ、マックスでも「ほっぺにキスしたい」とかぐらいかな。
それを単純に『ほしい』と表現しただけだろう。
うん、そうだ。そうに違いない。
純粋無垢で何も知らないってのが、私の中の唯だ。
ほら、ちょうど今浮かべてる笑顔がよく表してるように。

「はぁ、あずにゃんほしいなぁ」

そう思えば、このセリフも微笑ましいものだ。私は苦笑する。まったく、可愛い奴め。

「はいはい、もういいから、さっさとべんきょ」
「ネコミミつけて、メイド服で、深夜に私の部屋まで夜這いしてきて、十二時になって私の誕生日になると同時に『ゆいせんぱい、お誕生日おめでとうございます。プレゼントは……わたし、です……』とか言って、服をはだけさせて、『ほら、ゆいせんぱいのことを想ってたら、私のここはもうこんなに――』って私の手をあずにゃんの「すとぉぉぉぉぉっぷっ!!!」

何言ってんのぉ!?
私が浮かべた『純粋無垢な唯』のイメージを五秒と経たずに崩壊させてくれやがった。
つか、私の予想の遥か上を行ってくれたな、おい!

「え~、『誕生日プレゼントはわ・た・し♪』は定番じゃん。語らせてよ~」

語りたいのかよ。イメージぶっ壊しにきてるな、まじで。
いや、まぁ欲望に忠実なのもまた、唯らしいと言えば唯らしいのだが。しかし、そんなぶっ飛んだことを考えているとまでは……。
ほしいって、完全にエロティックな意味で『ほしい』のかよ。

「お前がそんなヤツだとは思わなかったよ……」
「いやいや、仕方がないよ。可愛すぎるあずにゃんが悪い」

とんだ責任転嫁だ。理不尽過ぎるだろう。

「鈴付き首輪&スクール水着着用で涙目になりながら『唯お姉さま、私のこといぢめてください……』なんて言ってくるあずにゃん! もう、それだけでごはん三杯はイケちゃうよ!」 
「妄想が悪化しとるわ!」
「あずにゃんはおかず!」
「変態だぁー!」

唯は「うぅ~ん、どうしてわかってくれないかなぁ」なんて首を捻っている。嫌だよ。絶対わかりたくねー。

「そんなこと言って、りっちゃんだって澪ちゃんがナース服で迫ってきたら断れないでしょ?」
「なぁ!?」

い、いきなり何を……っ!

「ほらほら、想像してみなよ~。ベッドの上にナース服姿の澪ちゃんがいてさ」

や、やめろ……っ。

「胸元を大きく開けて――」

『私、もう我慢できない……。ねぇ、律、しよ……』

澪が私にしな垂れかかってくると、その豊満で柔らかい胸が押し付けられる。
ナース服のスカートは短く、覗く白磁のすらっとした足、ふくらはぎ、ふとももが眩しい。
澪の端整で綺麗な顔、ぷっくりとした、奪いたくなるような真っ赤な唇が至近距離にある。そしてすっと私の耳元にその蠱惑の唇を寄せ、甘い声で囁くのだ。

『律、ほら、服脱いで? 診察してあげる……』

「……悪く、ねぇな」
「ほらほら」

好きな人のそういう普段と違う姿ってやっぱり見てみたいよね~、と唯はうんうんと頷く。
まぁ、それはそうなのだが、何だか素直に首を縦に振るのが躊躇われるのは、果たして何でだろうね。

「で、でもそんなコスプレを梓がやってくれるとは到底思えないんだが」
「そうだよね~。あずにゃん恥ずかしがり屋さんだから」

いや、恥ずかしがり屋とか、そういう問題じゃねぇから。
唯の言う罰ゲームレベルのコスプレを進んでやろうってヤツはただのドMだ。

「ん? つーか、お前は梓にコスプレをしてほしいのか?」
「え~?」

唯は一瞬溜めを作ってから、満面の笑みで口を開く。

「そうと言えばそうだけど、厳密に言えばコスプレえっt「わぁぁぁぁぁ!」

はい、本日二度目の自主規制入りまーす。

「びっくりしたぁ。りっちゃん、声大きいよー」
「びっくりしたのは私だ! 声が大きいのはお前だ! 今、世間では青少年健全育成だの何だの騒がれてんだぞ。全く、言いたいことも言えないこんな世の中じゃ」
「POISON! ……あっ!」
「どした?」
「私、気付いちゃったんだけど、POISONを『ぽいずん!』って書いたら『けいおん!』と似てる!」

心底どうでもよかった。ていうか、このネタってどのくらいの認知度があるのだろうか。

「ところでさ、りっちゃんは私の誕生日に何くれるの?」

エロから方向転換したかと思えば、誕生日プレゼントの催促だった。
しかし、まだ何も考えてないんだよな。まぁ無難に弦の替えとか、もっと安くていいならピックだけとかか。

「あ、ごめんだけど、りっちゃん自身がプレゼント、ってのはちょっと……」
「やらねぇよ!?」
「澪ちゃんに怒られちゃうし」
「うがー! だから、やられねぇって言ってんだろ!?」

私がげんなりしていると、扉のノブが回される音が耳に届いた。私は扉の方向に目をやる。
澪、ムギが部室に入ってきた。
私は心の内でほっと息を吐く。そろそろツッコミ疲れてきたところだったしな。

「おつかれ~。面談どうだった?」
「ん~、まぁ特に問題ないって。このまま頑張れって言われた」
「私もそんな感じだったわ~」

まぁこの二人ならそうだよな。みんな同じ大学を受けるに当たって問題は、悲しいかな、唯と私だ。
来週の面談で何て言われるか、怖い……。
ちなみに唯は明日だそうだ。とりあえず唯が何を言われるのかを訊いて、心構えをしておこう。
でも、この前の模試はまだマシだったから、ひどいことは言われないかもなんて期待もある。最近そこそこ真面目に勉強もしてるしな。ほら、今だって英語の問題を――

「あ……」

私は机の上の問題集に目を落とす。
そこには、空白の長文問題が一つ残されていた。

「……律、何でそこ真っ白なんだ?」

しまったぁ! 唯の妄言に付き合っていたせいで、完璧に忘れてた!

「言ったよな? 私達が来るまでに全部終わらせなかったらムギのお菓子は――」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! これには深い訳が!」
「とか言って、遊んでただけなんだろ」

澪の呆れた視線が私に突き刺さる。
いや、いやいやいや。

「だ、だって唯が!」

「ねぇねぇムギちゃん、これが前言ってたチーズケーキ?」
「そうなの。お母さんもすっごくおいしかったって」
「わ~、期待だね!」

唯はムギが持ってきたお菓子に夢中だった。私の方を見向きもしねぇ。

「唯が、なんだ」

ずずい、と澪が顔を近づけてくる。
うぐ……い、言い辛い。『唯の梓に対する卑猥な妄想を聴かされていました』なんて。私も途中ノっちゃって澪で変な妄想してただけ、余計に。
あ、そんなに近づかれると、りっちゃん、どきどきしちゃう。いや、マジで。

「て、ていうか、唯だって終わってないはずだ」

とりあえず、唯を仲間に引き入れよう。二人掛かりで弁明するなり謝罪するなりすればケーキ没収の悲劇だけは何とか免れるだろう。

「おい、唯。問題集終わってなかったらそれ没収だってさ」
「え、私もう終わってるよ」
「この裏切り者!」

さいてーだ。何でだよ。
あれか、コイツ、自分が解き終わって暇になったからあんなこと言いだしたのか。
私はまだやってただろ。ちょっとは気遣えよ!

「唯はちゃんとやってるってのに……。全く、律、お前も少しは見習え」

うわぁ……理不尽過ぎる。

「唯ちゃん、最近成績よくなってきてるわよね」
「うん! あずにゃんのおかげかな」

え、何でそこで梓が出てくるんだ。
それを訊こうと思った直後、

「失礼しまー……」
「あっずにゃああん!」
「わっ、と」

ルパンダイブばりの勢いで唯は、たった今部室に入ってきた梓に抱きつきにいった。「も~、またですか」とか言ってるけど、梓、あれは完璧に受け入れ態勢整ってたな。全然吃驚してないし。慣れとは怖いもんだ。

「えっへへ、あずにゃん分補給~」
「はいはい、その何とやら分を補給し終えたら離れて下さい」
「え、じゃあ、一生離れないよ?」
「な、何さらっとすごいこと言ってんですか!?」
「あずにゃん分は無限に摂取可能なのです!」
「うぅ~……一生だなんて、そんな……いや、でも、それならそれで……」
「どしたの?」
「っ! ど、どうもしないです!」

扉付近で甘々な空気を醸し出すバカップルそのものの唯と梓と。

「で、もう言い訳はなしか?」
「う……」
「ないみたいだな。じゃあ、約束通りケーキはお預けだ」
「待って! お代官様、どうか、どうかお許しを!」
「真面目に勉強してるって信じてたんだけどなぁ……」
「してた。してたから! 私、被害者だから!」

必死の釈明をする私と冷ややかな表情で私を見る澪。

そして、その二組をいつの間にか取り出したビデオカメラで撮影するムギ。

何だかんだで、いつもの軽音部だった。

結局、その後ちゃんと問題を解くことでケーキは食べさせてもらえた。
甘いはずのチーズケーキは、何故か少ししょっぱかった。




ぷれぜんと!(2)
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松中 竜馬

Author:松中 竜馬
百合が大好きなしがない人間。
唯梓は至高。
趣味はスポーツ観戦・麻雀・小説書き。

ブログの内容は二次創作百合小説が中心となります。
なので、こう言うのも何ですが、そういうのが苦手な方は見ないことをおすすめします。

ジャンルはけいおん!がメイン 
カップリングは唯梓

感想、ネタ振り、唯梓への想い等、コメントを頂けると非常に嬉しいです。百合好きな方、唯梓好きな方は色々と語り合いましょう!

当ブログは、リンクフリーとさせていただきます。
コメント、拍手等でご報告いただければ、相互リンクさせていただきたいと思います。



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