--.--.-- *--*
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

SS 私とお前

2011.09.15 *Thu*
というわけで久しぶりのSS。
ゆるゆりでシリアスって難しい……。何だか誰テメになってしまいました(笑)
もう少しキャラを掴まなくてはいけないのか、そもそも文章力不足かorz 精進しなくては。

※ゆるゆり SS
※結京
※結衣視点
※シリアス


『私とお前』

私と歳納京子の関係って、何だろう。

京子とはいわゆる「幼馴染」というやつだった。
親同士の仲が良くて、家も近くて、同い年だった幼い頃のの私達は、当然のように「友達」になった。
その後、一個下の赤座あかりとも仲良くなって、私達三人は毎日のように公園や互いの家で遊びまわった。
昔の京子は引っ込み思案で大人しく、その上よく泣く子だった。私は今に比べるといくぶんか強気であったので、そんな弱虫の京子を守ることを自分の使命だと思っていた。
私と京子は同じ小学校に通った。たまたまなのか、先生の意図的な配慮だったのかはわからないが私達は六年間ずっと同じクラスの「クラスメイト」だった。
一年遅れてあかりも小学校に入学し、また三人でたくさん遊んだ。他にも仲の良い友達はいたけど、でもその頃には私にとって京子とあかりはもう「親友」であった。
中学も京子と一緒に七森中に入った。京子が使われなくなった茶道部の部室を占領して「ごらく部」なるものを勝手に立ち上げた時も、私はその隣にいた。それが当然のことであるように。何の疑問も持たずに。
「また妙な事を言い始めたぞ」なんて一人ごちつつ、溜め息を吐きつつ、でも、当たり前に、私はその横に並んでいたのだ。
そして一年が経って、あかりが入学してきて、吉川ちなつちゃんと出会って、今のごらく部になって、生徒会のメンバーともよく絡むようになって、私の周りは少し賑やかになった。
だけど、それでもやっぱり私と京子は「幼馴染」で「友達」で「クラスメイト」で「親友」で。
守る、というより暴走キャラに変貌を遂げた京子を窘めるという意味にいつの間にか変わってはいたけど、それでもやっぱり私は京子の保護者役で。
だから今更私とあいつの関係なんて考えることに意味はないはずだ。
「幼馴染」でも「友達」でも「クラスメイト」でも「親友」でも、きっと間違ってない。全部正しいはずだ。
はず、なんだけど。
でも、なぜか考えてしまったのだ。
私と京子の関係を表すのに一番ぴったりな言葉って何なんだろう。京子は私のことをどう思っているんだろう。

そして、私は京子のことをどう思っているんだろう。

それが私、船見結衣の最近の悩み事だった。

  ◇

と、まぁそんな大仰な前振りをしてみたのだが、実際のところそこまで深刻に悩んでいるわけではない。
考えても仕方ないことだし、答えなんて出る気もしないし。私は私で、京子は京子。私と京子の関係は私と京子の関係でしかないのだ、なんてトートロジーで誤魔化すしかないし、なんていうのもトートロジーという単語を使ってみたいだけの、どうでもいい思考だし。
こんな益体もないことを考えてしまうのは、あまりにも暇だからに違いない。
というのも、珍しく今私は、部室に一人きりなのだった。
京子はまた提出プリントを忘れたらしく、ついさっき、生徒会副会長の杉浦綾乃に引っ張って行かれた。あかりとちなつちゃんは何でも二人で用事があるらしく、今日は部活に行けないというメールが元々来ていた。
一人だと少し広く感じるこの部室で、私は雑誌をぱらぱらめくりながら暇をしているというわけだ。
雑誌も何度も読み返したヤツなので、別段興味も惹かれない。京子が戻ってきたらもう帰ってもいいかもしれないな。今日は金曜日だから、いつも流れなら京子は私の家に泊りに来るだろう。だったら、ここでグダグダしている意味もない。
そんなことを考えていると、部室の扉が開かれる音がしたので「お、戻ってきたか」と私は首をそちらへ向ける。
しかし、そこにいたのは少し意外な人物だった。

「あれ、船見さんだけかぁ」
「千歳。どうしたの?」

生徒会書記の池田千歳。いつもニコニコとしてほんわかとした、あかり曰く「何だかおばあちゃんみたいな」関西弁少女である。ちなみに、突然「何らかの」妄想を始めあげく鼻血を吹きだすという少し困った体質だったりする。
そんな千歳はいつも綾乃と行動を共にしている。だから今も綾乃や京子といっしょに生徒会室にいるものだと思ってたのだが。

「いやぁ、歳納さんがプリント出してないって知った途端に綾乃ちゃんが『歳納京子~!』って叫んで生徒会室を出ていってしもうたから、慌てて後を追いかけてきたんやけど」
「綾乃ならさっき来て京子をしょっ引いて行ったよ」
「そか~、一足遅かったなぁ」

千歳はがっくりといった様子だ。何か伝えなきゃいけないことでもあったのだろうか。

「綾乃ちゃんと歳納さんの絡みをちゃんと生で見られんかった……」
「それだけのために後を追ったのか……」

相変わらず平常運転なだけだった。

「はっ、ということは今は二人きりの可能性も!」

しゃきんっとまるで抜刀でもしたかのような効果音付きで、千歳は眼鏡を外す。こ、これはマズい。とは言っても、妄想モードに入ってしまった千歳を止める手段などわかりもせず。

「――アカン、綾乃ちゃん、そんな大胆なっ……ああぁ!? 歳納さんが……っ」

ぶしゅっと盛大な音を立てて鮮血が舞った。時々思うが、池田家は至る所に血が飛び散った後とかあるんじゃないだろうか。軽くホラーである。

「はぁ。ほら、千歳。ティッシュ」
「ふぅ、おおきに」

私はあかりが「池田先輩専用」として部室に持ってきていたティッシュを箱ごと千歳に渡す。千歳の年間のティッシュ消費量も気になるな、なんてことを思った。

「せっかくだし、ちょっとゆっくりしていく? お茶淹れるよ」

鼻血を吹きだしたばかりの友人をそのまま帰らせるのも忍びなかったので、私はそんな提案をする。

「ほんま? うーん、そうやね、生徒会の仕事も今日はもうほとんど終わりやし……じゃあお邪魔させてもらおかな」

その返答を聞いてから、私は湯のみを一つ持ってきて、お茶を注ぐ。それを千歳に出して、それから二人でずずっとお茶をすすった。
まったりとした空気が部室に流れる。和やかというか、落ち着くというか、これも千歳の持つ雰囲気によるものだろうか。
……基本的に周り(その中でも特にとある一名が)がうるさいので、余計にそう感じるのかも。

「それにしても、私と千歳の二人きりって滅多にないよね」
「そうやな~。私は大体綾乃ちゃんといっしょにおって、船見さんは歳納さんといっしょやもんなぁ」
「千歳と綾乃は中学からの友達だっけ?」
「うん。去年同じクラスやったのがきっかけやね。すごい可愛い子がおるって思って、うちから話しかけたんや」

確かに綾乃は可愛い。その上成績優秀で、生徒会の副会長。いつも京子に弄られてばっかりだから忘れがちだが、中々ハイスペック少女だよな。

「船見さん、歳納さんとはずっといっしょなん?」
「ああ、そうだよ。腐れ縁っていうのかな。クラスまでいっしょ。ほんと、良い意味でも悪い意味でも毎日退屈しないよ」
「あはは。でも幼馴染ってええよなぁ。うち、大室さんと古谷さん見てていつも思うわ」
「確かにあの二人って喧嘩ばかりしてるみたいだけど、その実すごい仲良いよね」
「そうそう。何でもわかりあってるゆうか、もう熟年夫婦みたいやんね」
「熟年夫婦か、なるほど、そんな感じかも」
「船見さんと歳納さんもそんな感じやで?」
「ぶふっ」

千歳がにこりと笑いながらそんなことを言うから、危うくお茶を吹くところだった。じゅ、熟年夫婦? 私と京子が?

「か、勘弁してくれよ」
「え~、嫌なん? 歳納さんと夫婦」

京子と夫婦。あれか、私が家に帰ったら京子が「おかえり~、結衣。お風呂にする? ご飯にする? それともわ・た・し?」とかやんのか。
想像できな――と思ったが、そういえばこの間、私が買い物から帰ったときそんなことをやられたな。渾身のチョップを喰らわせてやったが。

「まぁ、うちは船見さんが嫌っていうならそれはそれでええんやけどね」
「え?」
「だって、そしたら歳納さんに想いを寄せている誰かさんにもチャンスがあるってことやろ?」

悪戯っぽくそう言う千歳に、私は一瞬、言葉を返せなくなる。
そりゃ、大体はわかってたことだけど。それでも、私は一つ小さく息を吸ってから千歳に問う。

「なぁ、前から聞きたかったんだけど、その、やっぱり綾乃は京子のこと」
「さぁ、どうやろなー」

それは綾乃ちゃんのプライバシーやからな~なんてしらばっくれるが、その口調が肯定しているも同然だった。
そうか。やっぱりそうなんだ。
京子も隅におけないな、とか、綾乃はあんなののどこを好きなったんだ、とか思ってみる。
だけど、なぜか心の中はざわついていた。
なんで?
綾乃が京子のことを好きだって聞いただけで、どうして?
いや、なんでとかどうしてとかは、逃げてるだけだ。本当は何となくわかっている。
だって私が真っ先に想像したのは、もし京子も綾乃が好きだったらってことだったから。そう考えてこんなに不安になるなんて、そんなのまるで――

「船見さん?」
「あ、ああ。ごめん。そうだよな、綾乃のプライバシーだよな、うん」

慌てて私はそう言って、お茶をぐいっと飲む。まだ熱いそれが喉に入って、少しむせた。

「ふふっ……船見さんも素直にならなあかんよ?」
「……どういうこと?」
「う~ん、そうやなぁ。今あるものがいつまでもあるとは限らんよってことかな」

どきっとした。まるで私の不安、悩みの中心をずばっと射抜かれたような、そんな感覚。

「うちはな、みんなに後悔して欲しくないねん」

千歳は言葉を続ける。

「ちゃんと自分の想いと向き合って、相手と向き合ってほしい。そうすれば、何もせんかったり気付かん振りをしたりするより、よっぽど後悔せんと思うんよ」

まるで見透かしたかのような、相手を包み込むような笑顔でそんなことを言われると、私はもう反論のしようもない。
素直に、自分の想いと向き合う、か。

「あ、ごめんな、急になんや語ってもうて」
「ううん、いいよ。でも、ほんと千歳っておばあちゃんっぽいな……。あっ、別に悪口じゃないからな。包容力があるというか、言葉に説得力があるというか」
「あはは、綾乃ちゃんにもよくおばあちゃんみたいって言われるわ~」

それからしばらくの間、取り留めもないことを話した。
だけど、心の中ではさっき千歳に言われたことが反芻していて、何だか落ち着かない。
私は素直じゃないのだろうか。私は私自身と向き合っていないのだろうか。私は京子と向き合っていないのだろうか。
このままだと後悔することになるのだろうか。

「それにしても、歳納さん、遅いなぁ」
「そうだね。プリント書いてくるだけって言ってたのに……また迷惑かけてなきゃいいんだけど」
「や、やっぱり二人きりの生徒会室で――」
「ちょ、千歳、眼鏡とっちゃ駄目。また出てる。鼻血出てるから。ていうか、生徒会室には会長も後輩達もいるだろ……勝手に消すなよ」

ちょうどそんな会話をしていると、扉ががらっと勢い良く開いて「たっだいま~!……って、あれ、千歳ここにいたんだ~」とこれまた威勢良い、聞き慣れた声が耳に飛び込んできた。
歳納京子。
私の「幼馴染」で「友達」で「クラスメイト」で「親友」。
今までずっと私はこいつの隣にいて、こいつは私の隣にいた。それが当たり前だと思っていた。
でも、そんなことはわからないんだ。
私達はこれからもずっといっしょにいるのだろうか。私はいつまでこいつの隣にいられるのか、いたいのか。
京子と目が合う。
私は、思わずその目線を逸らしてしまった。

  ◇

「電気消すよ」
「ほーい」

私は明かりのスイッチを押して、部屋を暗くしてから、京子と二人で一つの蒲団に潜り込む。
いつも通りの金曜日だった。やっぱり京子は私の家に来て、二人で私の作った夕飯を食べて、その後私はゲームをして、京子はラムレーズンを食べながら漫画を読んで、風呂に入って、また少しゲームをして、それから寝る。
そう、いつも通りだ。別に変ったことは何もない。私自身、いつも通りに振るまえたはずだ。
本当は、今日の千歳との会話が頭に残っていて、変に京子を意識してしまっていたのだけれど。
自分に素直に、か。……そうは言われても、正直なところ「素直な自分の気持ち」というやつが、私にはイマイチわかっていない。
では、仮に、私が京子のことを綾乃と同じ意味で好きだとしよう。つまり、京子に恋をしている、ということだ。
恋。恋、かぁ。

「なぁ、京子」
「ん? なにー?」
「恋って何だと思う?」
「ぶっ」

私がそう言った途端、隣の京子がいきなり吹きだした。こっちは割と真剣に聞いたというのに、そんな反応をされると少しむっとする。

「ちょ……何だよその反応」
「い、いやだって、結衣がいきなりそんならしくないこと言うから……。何々、気になる人でもできたの?」
「え、あ、いや、そういうわけじゃないんだけどさ」

ある意味気になってはいると言えばなってはいるが。

「ふーん。あ、じゃあやっぱり今日千歳と話したことと関係あんの?」
「やっぱり?」
「うん。だって結衣、千歳と話してからどっか上の空じゃん」

その京子の言葉に私は驚く。私としては特に表に出したつもりはないのだが、それでも京子にはわかってしまっていたらしい。
流石、伊達に幼馴染をやっているわけではないということか。

「よく見てるな、お前」
「へへん、天才京子ちゃんの観察力を舐めるなよー……で、どんな話してたの? 恋とかいうぐらいだから、やっぱそっち方面?」
「内緒」
「えー何だよー。教えてくれたっていいじゃんかよ」

京子はぶーぶー言うが、まさか関係ある本人に言うわけにもいかない。

「いいだろ。で、京子はどう思う?」
「ちぇっ、まぁいいけど。うーん、そうだなぁ、恋ねぇ」

そういえば、そもそも京子は恋をしたことがあるのだろうか。したことなかったら、私と同じでわからないんじゃ。だったら、いつもみたく冗談めいた回答が返ってくるかもしれない。聞く意味なかったかな。

「相手の一番になりたいって想うことかな」

そんなことを思っていたから、京子が思いの外神妙な声を発して私は面食らった。

「一番?」
「うん。『私を見て!』って『私だけといっしょにいて!』みたいな」
「ずいぶんとわがままだなぁ」
「恋ってそんなもんじゃないの? 少なくとも私はそう思ってる」
「へー……ていうか、意外だ。京子がちゃんとそんなこと考えてたなんて」
「……漫画の受け売りだよ」

最後のセリフが京子らしからぬ呟くような声だったので、私は少し訝しむ。
まぁとにかく、京子曰く恋とは「相手の一番になりたい」と想うことらしい。
しかし、そう考えると恋というものが何だかあまりにも凶暴になってしまわないだろうか。
どれだけ親しくても、他人は他人、自分は自分。誰だって自分が一番大切に決まっているのだ。それは決して悪いことではなく、人間、いや動物が生きるために当たり前のこと。
他人は他人自身を一番に考えるべきだ。だから、他人に自分を一番に想って欲しいだなんていうのは、傲慢過ぎると思う。
だって、私は別に京子にそんなことを言って拘束したいだなんて、ちっとも――。
と、考えてから。
私は、もし綾乃と京子がお互いのことを好きだったら、と考えた時の苦しさを思い出した。
あれ? あの感情って、そういうことなのか? つまり、綾乃が京子の一番になるって考えて、それであんな気持ちになったのか?
あれは、私の中に潜んでいる凶暴な感情が顔を覗かせたのだろうか。
綾乃と京子が並んでいる光景を思い浮かべる。
笑いあっている二人を思い浮かべる。
手を繋いでいる二人を思い浮かべる。
キスをしている二人を思い浮かべる。
それだけで、またもやもやする。泣きたくなる。心の中で凶暴な感情が頭をもたげる。
ああ、何かやだな。

「京子、もう一個聞いていいか」
「んー?」
「好きな人、いる?」

だから聞いてしまった。
口に出してから、少し後悔する。でも、どうしても気になったから。京子の一番が誰なのか知りたかったから。
少しの間の静寂があって。

「私はみんな大好きだよ」

京子はそう言った。
……そう、だよな。京子はそういうヤツだ。お調子ものだけど、空気読めないけど、他人の迷惑ばっかりかけるけど、でも、誰よりもみんなことが大好きなのだ。
だからこそ、みんな京子についていく。京子はみんなの中心にいる。
しかし、私は京子が特定の誰かを挙げなかったことに安堵すると同時に、寂しいとも思ってしまった。
今の京子は昔のように弱虫で泣き虫だったころの京子ではない。私が守る必要はない。私を必要としていた京子は、もういない。
もしかしたら、私は京子にとっての特別になりたかったのかもしれない。
「幼馴染」でも「友達」でも「クラスメイト」でも「親友」でもない、特別に。
ああ、やっぱり、私って――。

「あかりも、ちなつちゃんも、綾乃も、千歳も、千鶴も、大室さんも、古谷さんも。みんな大好き」

京子がもぞもぞと動く気配がした。何かと思って、横を向く。
すると眼前まで京子の顔が迫っていて、私は言葉を失った。
鼻先が触れてしまいそうな距離。暗闇でも十分に表情がわかる距離。京子の匂いでいっぱいになるような距離。
突然のことでパニックになって、私は動けない。ただ、心臓の音がやたらとうるさかった。

「でもさ」

京子はさらに近付く。お互いの額がこつんとぶつかった。

「結衣が一番好き」

その言葉を私の耳が捉えたとき、私がどんな顔をしていたかはわからない。表情に気を遣っている余裕なんてなかった。
だから、もしかしたらすごく気持ち悪い顔をしてしまったかもしれない。
だって、その一言だけで、「一番好き」というその言葉だけで、不安も悩みも全部消え去って、とても幸せな気持ちになれたから。
何だか気恥かしくなって、私は顔を背けた。

「お前は、たまにそういうことを平気で言うよな……」
「だってほんとのことだし」

顔を背けることでわざわざ少し距離をとったのに、その距離すら京子はすぐに埋めてくる。まるで猫のようだと思った。
私は諦めて、京子の頭に手を置く。さらさらなロングヘアーを手で遊ぶように軽くすいてやると、くすぐったそうな声を上げた。

「で、結衣は?」

そう聞いてくる口調はいつもの京子らしい、にやにやという擬音が今にも聞こえてきそうなものだった。

「……何が」
「だって、私は言ったんだよ。結衣も言わなきゃ不公平だろー」

私は言葉に詰まる。さて、どう答えたものか。京子はすごく嬉しいことを言ってくれた。だから、私もちゃんと言葉を返すべきだ。
だけど、やっぱり気恥かしい。どうしても、口が動いてくれない。
千歳の言葉が脳裏に蘇る。
そうだ。素直にならなきゃいけない。自分自身の気持ちと向かい合わなければいけない。京子と向かい合わなければならない。
いつまでもこうしていっしょにいられるかなんて、わからないんだ。
まだ、私自身の気持ちがはっきりとしたわけではないけど、でも何となくは掴めた。それを、素直に口にしてみよう。

「そうだな、私もみんな好きだよ……京子以外」
「え、ええぇ!」
「声でかいよ」

耳元で叫ばれたものだから、頭の中がきーんとなる。

「だ、だって、結衣が」
「はいはい」

私は京子がこれ以上うるさいことを言わないよう、京子の顔を自分の胸に埋めさせるように抱きしめる。

「京子のことは、『大』好きだから」

……ああ、これ、やっぱり恥ずかしい。顔が熱い。咄嗟に思いついたのだけど、ちょっと気障っぽかっただろうか。
胸元の京子は何も言わない。流石に呆れてしまっただろうか。

「あ、あの、京子?」
「……るいな」
「え?」
「結衣は、ずるい」

ず、ずるい? 一体何のことだかさっぱりだ。私、何かずるかったのだろうか。かなり正直な想いを打ち明けたのだけど。
顔を少し上げた京子と目が合う。暗くてよかった。明るかったらきっと真っ赤であることがばれてしまっただろう。
京子はにかっと笑った。

「でもそっか。えへへ。結衣ってばそんなに私が好きか」
「お前だって私が一番好きなんだろ」
「だぶち(※そうでした)」
「そのネタいつまで引っ張るんだよ……」

私と京子の関係。
「幼馴染」でもあり「友達」でもあり「クラスメイト」でもあり「親友」でもある。
そしてさらに、「お互いのことが一番好き」。
そういう関係のことを何というのか。
……いや、無理に今、私との京子の関係を明確にしなくてもいいか。
今こうしているだけで、こうやって二人で笑いあっているだけで、どうしようもなく幸せだし。
いつまでもこの時間は続かない。永遠なんてない。もちろんそんなことはわかっている。
だから、いつかは、はっきりさせようと思う。はっきりとたった一つの言葉で、私と京子の関係を表してみようと思う。
ただその「いつか」は多分今じゃないから。
そのときが来るまでは、このごゆるりワールドでまったりモラトリアムを満喫しようかな、なんて思った。




うーん。まぁ何とか書きあげたって感じです。京子がとくに難しい……。
スポンサーサイト

COMMENT

sosxxです。

結京SSキターーーー!
ありがとうございます!

読んでてなんだかもどかしい気分になってしまいました~。あと一歩だよ!二人とも!(笑)

これからも応援しております。頑張ってください~
2011/09/15(木) 22:03:47 | URL | 二度目まして、 #- [Edit
お久しぶりでっす!

いやぁ・・・いいですね!←ww
何か、京子と結衣っていいですねっ!←黙

千歳もいい役してますなぁ・・・

次のできるまで待機してます!ww
ではでは~w
2011/09/29(木) 22:39:00 | URL | くろ #- [Edit

Comment Form


秘密にする
 


TRACKBACK

TrackBack List



06
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30

時計



最新記事



プロフィール

松中 竜馬

Author:松中 竜馬
百合が大好きなしがない人間。
唯梓は至高。
趣味はスポーツ観戦・麻雀・小説書き。

ブログの内容は二次創作百合小説が中心となります。
なので、こう言うのも何ですが、そういうのが苦手な方は見ないことをおすすめします。

ジャンルはけいおん!がメイン 
カップリングは唯梓

感想、ネタ振り、唯梓への想い等、コメントを頂けると非常に嬉しいです。百合好きな方、唯梓好きな方は色々と語り合いましょう!

当ブログは、リンクフリーとさせていただきます。
コメント、拍手等でご報告いただければ、相互リンクさせていただきたいと思います。



カテゴリ

openclose



カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -



月別アーカイブ



リンク



検索フォーム



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



Copyright © 青春桜花 All Rights Reserved.
テンプレート配布者: サリイ  ・・・  素材: chaton noir  ・・・ 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。